小説 『通夜の客』の舞台  中国山地を訊ねる

 通夜の客は井上靖の作品である。小説のこととはいえ、この地を訪ねてみたい思いを持っていた。

 JR上石見駅は中国山地にある高原の駅。
 その駅から 2里の道を進み 更にもう一山越えると旧福栄村。小説の舞台の地である。
 二十歳代の時、大山登山や花見山でのスキーのために伯備線でこの地を訪れていた。
 当時の懐かしさもあり、昨年春、駱駝のコブと称される山道を歩いてみようと思いで訪ねた。
 しかし、途中で道が消失したり、歴史を感じさせる道が他にもあったり、はっきりした道は判らなかったので、
 今回は時間をかけても 是非とも歩こう という思いであった。
 
 ここは天に近い、空に向かい合っている美しい地である。ただ、遠く、訪ねるには時間がかかる地である。
 写真にはおさまりきらない 広さ 美しさのあるのは 承知の上であるものの、
 小説を読まれた方が、小説にこの風景を少しでも重ね合わせていただければ、幸いである。

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福栄の風景
 広々とした所である。
「いかにも高原の一角らしいはろばろとした明るい美しさ・・」

鳥取県・岡山県・広島県の3県の県境付近にある高原である。
福栄の風景
峠を越え村が見え始めるる地点。
「村全体を見晴らせる台地に辿りついた・・」
井上靖記念館  野分の館
  館内には資料が展示されている。   
  館内外とも綺麗にされ、頭が下がる思いする。

      
  
記念館前の芝桜。
昨年は無かった気がする。整備をされたのであろう。
 この写真の右側に昔の山道があったように記してあり、
 それを進むも途中で道が消失していた。
新しく設置された駱駝のコブ道の案内板
  この看板の左側を進む。

住居のあった福栄から上石見駅にいたるまでの2里、二つの峠道を越して行く。
これを駱駝のコブと称している。
山道の様子。
   杉の枝や葉が一面に落ちていた。
山道の様子。
山腹をトラバースするように道は付いている。
 
記念館から上石見の方に進み、現在の道に出たところ。
こちら側からは入り口はわかりやすい。
駱駝のコブを越して出たところの風景。
山道を通り過ぎ、平坦な地に出て、上石見駅を目指し進む。
小説の最後、「私は愛したと心の中で叫びながら、よろめきつつ遠い上石見の灯りに向かって歩き出した」
この場所になる。
畑の中に上石見駅が見える。
上石見駅
かって花見山スキー場へはここからバスに乗った。
また、駅の裏でスキーをする人達もいた光景が思い出される。
昭和50年代の話でスキーを楽しむ多くの人がいて
町全体にも元気があふれていた。
上石見駅
 プラットホーム
 「いかにも高原の駅らしい上石見の小さく清潔なプラットホーム・・」
特急・やくも がちょうど通過した。
ただ、スピードが早く写真撮影は間に合わなかった。
上石見駅
見晴らしの良い高原の駅で、気持ちも明るくなる。
レストランがあり土産物も販売されている。
モデルとなった家の屋号が掲示されている。
家の屋号が掲示されている。
他にも掲示さえている家がまだある。
曾根の家に向かう道。
「坂の下の小川から、家に戻る途中の坂道」
この坂の下には、沢水が流れている。

また、写真の道の横にも小さな流がある。
曾根の家跡。少し小高い所にある。
曾根の家跡からの付近の家の眺め。
桜やスイセンも咲き綺麗にされている。
曾根の家跡からの田園の眺め。
狐火が見えたのはこの方向になるのだろうか。


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